目が見えない母の手を引く子

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先日の朝、渋滞気味の信号で停車していると、前から歩いてくる親子が見えました。
母親は白い杖を手にしており目が見えません。幼稚園の服を着た女の子が、杖を持った母親の手を引いていました。
母親はすこし顔をしかめており、その光景を見て瞬間的に思ったのは、この親子がこれから先に通らなければならない様々な苦労や困難のことでした。
目が見えない母親の手を引く幼稚園児には、けなげさと共に痛々しさを感じました。

ところがその親子との距離が縮まり幼稚園児の女の子を見ると、その表情には目の見えない母親の手を引いて歩く恥ずかしさや気後れの様子がまったく見られず、しっかりと前を向き、むしろ毅然として母親の手を引いていました。
幼い心で、自分がしっかり母親を支えなくてはいけないと考えているのでしょう。

その姿を見て、この子はどんな困難でも乗り越え、強く思いやりのある子に育ち、決して母親を悲しませる子供にはならないだろうと感じました。
救われた思いでした。

「経済的に貧しく、精神的に豊かな家庭が立派な子供を育てる」というロシアのことわざがあります。
トルストイの『戦争と平和』には、「一切の不幸せは、貧しさや不足から生じるのではない。あり余る所から生ずるのだ」との一節があります。

経済的な困難だけでなく、ハンディキャップや苦境を乗り越えることによってしか得られない人間としての成長があります。

目の見えない母親の手を引く幼稚園児が、与えられた困難を乗り越え、幸せな人生を送ることができるよう願わずにいられませんでした。
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