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日本人が失ったもの

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音楽の幼児教育で世界的に有名な、スズキメソッド(才能教育)の創始者である鈴木鎮一先生の著書
「愛に生きる」の中に感動的な逸話があります。
今から40年以上前、チェロの巨匠、パブロ・カザルスがスズキメソッドのコンサートを訪れた時の話です。
日本人が失ったもの、そして、日本人が完全に失ってはいけない、大切なものが何かを教えてくれます。

ー400名の子供たちの生き生きしたヴァイオリンの演奏ー

「おお・・・おお・・・」
老巨匠の驚きの目とともに、その口から続けざまに感嘆の声が漏れています。そしてご夫妻の感動は、やがて子供たちがヴィバルディやバッハの「二つのヴァイオリンのための協奏曲」を演奏するに及んで、その頂点に達したのでした。
先生が泣いておられる・・・目に涙を浮かべ、口をへの字に結んで・・・ 

子供たちの演奏が終わり、私がカザルス先生のそばに立って、お聴きいただいて、どうもありがとうございました、とまだいい終わらないうちに、先生の両手がわたしを抱きしめました。無言のまま、先生の涙がわたしの肩をぬらす・・・
いくたびわたしは、子供たちの、このような無心の、みごとな生命のほとばしりに泣いてきたことか。いま、その高い生命の音の前に、七十五歳の偉大な老先生が・・・それはいいようもない荘厳な瞬間でした。

それからカザルス先生は、夫人とともに、ステージの子供たちのところに歩いていかれました。 
先生はマイクに向かわれました。そして、感動にふるえる声を張り上げて、
「みなさん、わたしはいま、人間が遭遇することのできる、もっとも感動的な場面に列席しています・・・」

「いま、ここで、私たちが見聞きしたことは、外見的に見られた事態よりも、はるかに重要な意味をもっていると思われます。
私たちは、世界のどこにおいても、このような限界にまで示された愛情と誠実の心を見ることはできない。
私たちがこの国を訪れて、いつの瞬間にも感じたことは、よりよい世界への心の要求が示されていることでした。
とくに私に強い印象を与えたのは、人生のもっとも高貴なものに対する追求でした。
おとなたちが、この子どもたちのような幼い時期から、高い心と高貴な行いで、人生の第一歩を踏みださせる、なんとすばらしいことであるか。しかも、その方法は音楽なのです。音楽で訓練し、音楽を理解させる・・・。

音楽は、ダンスをするためのものではなく、また、小さな快楽を求めるためのものでもなく、人生にとって、もっとも高いものです。おそらく、世界は、音楽によって救われるでしょう」

「私はいま、先生たちやご両親に、ただ「おめでとう」というばかりでなく、わたしの心からなる賛美と、心からなる尊敬と、最大の祝福を贈ります。そして、もうひとこと、こう申し上げるしあわせを感謝します」

「日本は行動・産業・芸術の面で偉大であるばかりでなく、日本は、“心の心である”ということです。
そうしてこの心は、いま人類がなによりも第一に・・・第一に必要とするものであります」



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