何も持たない幸せを昔の日本人に見る

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世界一貧しい大統領として、ウルグアイのムヒカ大統領が話題になっています。
その一言一言に叡智が感じられますが、ムヒカさんの理想とする生き方を一番理解できるのは日本人であり、かつての日本人の生き方は、真の豊かさとは何か、幸せとは何かを示すものでした。

ムヒカさんの言葉
「私は聞いてみたい。
今日の若者は物がない昔の若者より幸せなのか。
今の日本はあまりにも西洋化してしまい、本来の歴史やルーツなどはどこかに行ってしまったのかと聞きたくなる」

「私はペリー提督が外国人を受け入れていなかった時代の日本を訪問した時のことが書かれた本をよく覚えているよ。当時の日本人は「西洋人は泥棒だ」と思っていた時代だね。あながち間違っていなかったけど。」

「日本人はとても賢いと思うよ。だって彼らは気づいていたんだ。
西洋の進んだ技術にはとても対抗できないから、彼らは勝てる技術を作ろうと頑張ったんだ。
そしてそれを成し遂げたんだ。しかし日本人の魂を失ってしまった。」

「昔の日本人はすごく強かったんじゃないかな。多くの障害を乗り越える強さを持っていた、それがあなたたちなんだよ。」

「江戸時代、金が無くても人は幸せだった。仕事は午前中で終わり、午後から人々は風呂に行き落語を楽しんだ。その中でつつましやかな生活をしていたのは武士だった。」

ムヒカさんは子供の頃、移民としてやってきた日本人から日本の素晴らしさを聞いたようです。
江戸は高度のリサイクル社会で物には魂があると信じ大切にしました。(古来日本人は古いものに宿る魂を付喪神[つくも神]と呼んでいました) 使い捨て文化から一番遠かったのが日本です。(以前の記事「日本の色」をご覧ください)

参照;日本の色

ものが無くても豊かに生きられることを示したのがかつての日本人であり、幕末から明治の始めにきた外国人は、一様に日本人の幸せそうな笑顔に驚いています。

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明治11年、イギリス人の女性旅行家イザベラ・バードは、東北、北海道を3カ月にわたって旅し、その時の体験を『日本奥地紀行』として出版しました。
最初一人旅を不安に思っていた彼女は、江戸時代が色濃く残る明治の初めの日本が女性の一人でも安全であることに気づきます。
「もうとっくに分かっていることですが、この国の旅の安全は確かなことです。
かつての不安でいっぱいだった自分がおろかに思えてなりません。
家々では裸の子供がはしゃいでおり、犬も子供達も大人も誰もが皆満ち足りた穏やかな表情をしているのです。」
「男達は仕事を終えて家路につき、食事をして煙草を吸って、子供たちの遊びを見守り、いつもの時が過ぎてゆきます。どんなに貧しくても、人々は暮らしを楽しんでいるのです。」

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あふれる笑みのそのわけは、西洋の常識では推し量ることのできないものでした。
彼女はこの旅で西洋の価値観にはない幸せに気づかされます。

幕末から明治にかけて、日本を訪れた外国人達は一様に驚きを語っています。
江戸時代の暮らしぶりを色濃く残こす日本人を見て、外国人たちはこう言いました。
「この民族は笑い上戸で心の底まで陽気である。」
「この日いづる国ほど安らぎに満ち、命を蘇らせてくれ、古風な優雅があふれ、和やかで美しい礼儀が守られている国はどこにも他にはありはしないのだ。」

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イザベラ・バードは旅をするにつれ、次第に日本人が根っこに持つ美徳に気付き始めます。
「昨日革紐を1本落としてしまいました。もう陽は暮れていましたが、馬子は1里引き返して見つけてきてくれました。お礼にチップを渡そうとするのですが、彼は受け取りません。
旅が終わるまで無事に届けるのが当然の責任だというのです。」
それまで貧しさだと感じていたものが、実は自分の物差しの貧しさとは違うものだと気付かされました。

山形県の米沢の平野を訪れた時、米沢の町が栄え、温泉町の赤湯が湯治客でにぎわう様子を見て、まるでエデンの園のようだと感じます。
「鋤で耕したというより、絵筆で書いたようです。
ほほ笑むような豊かな大地。ここは東洋のアルカディア(桃源郷)です。」

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秋田を訪れたバードはその礼儀正しさに驚きます。
「この国の均質さは大変興味深いことです。どんな階層であろうとも、社会が求める礼儀作法は基本的に同じです。秋田の人は田舎者ですが、東京の人と同じように、礼儀正しく丁寧です。」

かつての日本は、衣・食・住、どれをとってみても慎ましやかでした。
「農民はたいてい塩漬けにした魚と、消化に悪そうな野菜の漬物を食べています。
まるで食事の時間を短く済ませることが人生の目標の1つであるかのように、瞬く間にお腹の中に詰め込まれます。足るを知る・・・質素な暮らし。
私達が汚らしいと感じる貧乏とは、怠け者や酔っぱらいだったりするのですが、ここでは怠け者はもちろんのこと、酔っぱらいもいません。
ただただ農業に明け暮れ、安息日すらありません。
彼らは礼儀正しく親切で勤勉です。」

「フランス人は10着しか服を持たない」という本があります。原題は「私がマダム・シックから学んだこと」であって、10着しか服を持たないは題名に偽りありですが、著者ジェニファー・L・スコットは日本の寺院の内部の簡素さを見て、物を持たないことの美しさに驚いたといいます。

葛飾北斎は90年の生涯で90回以上引っ越しをしています。ひどい時には1日3回の引っ越しをしたと言われていますが、そんなことができたのも、何も持たず、風呂敷一つで引っ越しをしたからでしょう。無論北斎を貧しいと言う人はいません。

何が豊かで何が幸せか、昔の日本人はその答えを知っていました。







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