我に潜む刃

新緑


漢字の成り立ちには、深い洞察力が感じられます。

「我」という漢字の左側は、鋭いのこぎりの歯を表し、右側は両刃の剣に長い柄をつけた武器「戈(ほこ)」を表しているそうです。
「我」には危険な武器が二つ入っており、意識して自分を律しなければ危険なものであることが分かります。

様々な人間関係のトラブルや夫婦家族のいさかい、すべての原因は「我」にあります。国と国との争いも、「我」の集合です。

人間の争いは、自分の利益や都合だけを考える我欲や我がまま、自我が肥大した傲慢や虚栄、あるいは自分の意見を押し通す自己中心性などよって起きます。
夫婦や家族の間は、遠慮がないために自我が出やすく、余計に気をつけなければならないでしょう。

「我」は、人も自分も傷つける両刃の剣です。
人を傷つけた我という刃は、寸分たがわず自分を傷つけますが、それが自分に返るまでに時間差があり、原因結果の法則が理解しにくい仕組みになっています。

もし他人に悪を行い、その結果が瞬時に自分に返ってくれば、人は悪を行わないでしょう。しかしその場合、行動の基準は物理法則のように有無を言わせぬものとなり、自由意志での選択ではなくなります。結果が分からないから試行錯誤し、学んで行きます。

人間はみんな真っ白でまん丸い心で生まれてきます。しかし、成長し「我」が大きくなるにつれて心を汚し、ゆがめて行きます。
人間の目は外に向いて付いており、人の欠点や過ちは目につき許すことができませんが、自分を外から見ればきっと他人と同じことをしています。

「人の振り見て我が振り直せ」、昔の人のさりげない言葉に、我をただす知恵があります。

夜、交差点で対向車のライトがまぶしいと不快に思う時、自分の車のライトも相手にはまぶしいはずです。
自分がライトを消せば、相手も消してくれます。
「譲れば道は広い」と言われますが、譲れないのが「我」です。自分から譲れば、相手も譲ってくれます。

自分を意味する漢字に「吾」があります。
「吾」の字の「五」は木で作った蓋で、下の口は、祝詞(のりと)を入れる器です。
器の上に五をのせて蓋をし、祈りの効果を守る意味が吾(ご)だそうです。
本来「まもる」という意味の「吾」が、「われ」という漢字として使われるようになりました。

自我の危険性を内包する「我」と、神聖さを表す「吾」、人間は聖と俗を併せ持っています。

「我」を小さくするための修行が、人生なのでしょう。


参考:大紀元日本「争いの元は我
親子で学ぼう!漢字のなりたち






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コメント

Re: これも奥深いですね

ジェームスダブルお さん

みんな自分中心にしかものを見ることができませんね。
自分が正しいと思ってしまいます。

「我」は獅子身中の虫ですが、この虫はどんどん大きくなり、
退治するのが大変です。

記事をご紹介頂きありがとうございました。

これも奥深いですね

いつもありがとうございます。
これも奥深いですね。とても参考になります。

Re: No title

アラレさん

人に勝てても、己に克てる人は殆どいませんね。
人には厳しく要求し、自分には大甘な人はたくさんいます。
たまに自分に厳しく、人に慈愛深い人がいて、聖人とか大指導者と言われます。

他人に譲れても自分に譲れないとは、まさに自分に厳しいことではないでしょうか。
私の場合、人にも甘く、自分には更に大甘なので、今度生まれる時は、アラレさんの名前にして、自戒しなければと思っています。




No title

私の名前にも、自分を表す「己」という字が入っています。そして、名前をつけた父親は期待をこめたのか、血迷ったのか己に克てと背負いきれない名前をつけてくれました。若い頃は、せめて名前に追い着こうと足掻いたこともありましたが、どうにもならない成れの果てが出来上がりました。

「我」と、「吾」の成り立ち今回はじめて知りました。その上で、他人も自分も傷つける刃を持っているという自戒と自覚を忘れないように「我」という文字を使い続けたいと思います。祝詞に蓋をした「吾」は、まだ分不相応かと思います。
この思いも、私の中の蛇がそそのかしているのかもしれませんが・・・。
どうにも、他人には譲れても自分に譲れない「我(が)」というものが強すぎるようです。

また、素敵な記事を楽しみにしています。

Re: No title

風光さん

今回は気を使う相談だったようですね。
お疲れ様でした。

素直に人の言葉が聞ける性格であれば、過ちに気づき、生き方を変えることができますが、
我を張って人の言葉に耳を貸さない人間は、どこかで頭を打たない限り気づくのは難しいでしょうね。
しかし、苦労を重ねた人間にしみついた頑固さと違い、若い時には我を張っても、まだ幼さがあるだけ救いがあります。

人間は自分は正しい、悪いのは他人だと思う癖があります。
人間の判断に絶対はなく、正しさは相対的です。
自分を客観視できる視点を持ちたいと思います。

No title

本日一応の結論を出し、暫くは様子を見ながらの対応となり、問題の対応は終わりました。

バックさんの記事を読んでおりましたが、コメントを記載する時間も無く本日となりました。

今回のご相談者は、まさしく我を通すことによって自分の行動範囲を狭めていったように思いました。
日々過ごす中で、意見や考えの違いは多く見受けられますが、「聴く耳」を塞いでしまうかどうかで自分の生き方に歪を感じることもありますね。
他人に迎合する必要はないのですが、相手の言葉から良き言葉を見つけ出すのもその人の考え方・生き方に巾を持たせるという意味では、我を通すことで得るものも得られない状況を自分で作ってしまうようです。
そういう心を持つには、時には「吾」という自分自身の心のあり方に目を振り向け風通しの良い心にしておかないといけないのではと思います。
発する言葉は、その人の行動をも左右しますが
その大切な言葉が自分の人生を形作っていくと思うと、大切に扱わなければいけませんね。
また他の人に愛語で接することで和合とし、自分自身にも愛語で語りかけ心の歪みを円相に正しておかなければと思っております。


Re: No title

荒野鷹虎さん

貴様とか御前とかは本来は良い言葉ですが、なぜか粗野に使われていますね。
日本語の一人称は、いったいいくつあるのでしょうか。
年齢、立場、職業、性別、貴賎などに加えて地方性がありますので、膨大な数でしょう。
それだけ自分を意識してきた民族だと言う事でしょうね。

No title

漢字にも深い意味があるのですね~
「貴様」なんかは、敬語にお思うのですが、
簡単には使えませんものねー。
「吾」が正しいのですねー!勉強にいつもなり感謝します。!

Re: No title

せばすてぃあんさん

自分を表す漢字には、他に己がありますが、これは蛇の形からきたようです。
自分の中には、蛇のような怖さが潜んでいるということでしょうか。
相手のことを「おのれ」と言うと、仲のよい関係ではないですね。
関西で「われ」は喧嘩を売っているようですし、やはり吾が一番良さそうです。

No title

こんばんは。

「我」この漢字は、どうも苦手でした。
何かというと俳句を作る時に使う「われ」です。
勿論使った事もありますが、結局「吾」か「われ」としてました。
「我」だと句が喧嘩売ってそうなんですよね。
何でだろうと思いましたが、謎が解けた気がします^^

Re: No title

yumiさん 

「初めに言葉ありき」で、言葉は人間のすべてでしょうね。
言葉によって考え、感動し、愛を語り、真理を求める一方で、
傷つけ、騙し、怒るネガティブな言葉もあります。
言葉を大事にすることが、人生を大事にすることだと思います。
yumiさんの言葉には、いつも癒されます。

No title

パックさんこんにちは☆
お忙しさ一段落されたのでしょうか?
今回のお話もとても興味深く読ませていただきました。
我は自分も他人も傷つける両刃の剣ってなるほど~~って思いました。。。。。
そして吾はまた我とも違う意味だっていうことも、、、、
言葉はおくが深いですね。。。

Re: No title

タヌ子さん

日本人は我を抑えることを最も重視してきた、稀有な国民でした。

私心を去り、公に尽くすことによって作られてきた秩序が、戦後、自分さえ良ければという個人主義に取って代わられました。
エゴというパンドラの箱が開けられてしまいました。

もしかしたら、日本人の心の中に残る、より良きものへの希求が教育によって復活するかもしれませんが、日教組が幅を利かす民主党政権にそれを期待することはできません。

わが家では、のこぎりと矛の刃が欠け、手にする武器が無くなりました。
タヌ子さんのご健闘を祈ります。

No title

我と吾、上手くバランスを取っていけば素敵な人間関係が築けるのに、どうしても『我』が強くなってしまいがち。
今回のギリシャの経済破綻を見ても、一部の権力者が我田引水に走ったのが原因のようにも思えます。
ギリシャ語の『私=我』は『Ego』。
Egoが強くなればなるほど、バランスが崩れてしまいます。
そういう私も家族の中ではかなり『Ego』が強くなってしまい、相手を理解しようとする前に、刃を剥きだしにして、自分の要求を通そうとしてしまいがち。
これからは『我』の意味を認識しつつ、相手に巻けるのではなく、上手く譲歩できるよう心がけたいと思います。
意味深い記事、ありがとうございました。

Re: No title

rpathさん

有難うございます。
「我」を小さくする、一生の課題ですね。

No title

こんにちは。
大変勉強になりました。
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