テレビと映画のこと

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過日、ある役者さんと話をしましたが、長年芸を養ってきた人たちが、不況によって厳しい状況に置かれているようです。
この方も付き人の給料を払うのが大変なほどギャラが下がっており、出演した映画のギャラも未払いになっていると言われていました。

不況によりどの企業も厳しい状況にあり、ギャラが下がることは止むをえません。
問題は、最近のテレビが吉本興業やジャニーズ事務所に席巻され、本物の芸を持った役者の活躍の場が奪われていることです。
どのチャンネルも、お笑い、クイズ、グルメ番組で、出演者も同じような顔ばかりです。

売れているタレントを出すのはテレビ界として仕方の無いことですが、余りにも見識の無い、安易なタレントの起用が目に付きます。
製作者として恥ずかしくないのだろうかと思いますが、残念ながら視聴者もそのような番組に慣らされてしまって、視聴率が稼げることも原因です。


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テレビと似た現象が映画界にもあります
昨年公開された「ヴィヨンの妻」はカナダの映画祭で最優秀監督賞を取っただけあって、見終わった後に余韻が残る佳作でした。
舞台となる戦後の貧しい時代の雰囲気を良く表現しており、松たか子も破滅的な夫を受け入れ、献身的に支える妻を魅力的に演じていました。(この人は興味の無い女優でしたが、見直しました)

主役の浅野忠信は売れっ子で多くの映画に出演していますが、この映画では献身的な女房を裏切り、浮気に走る救い難い男を見事に演じており、この虚無的な雰囲気を出せるのは、彼以外に考えられないと思わせる演技でした。

脇を固める役者も演技派を揃えていましたが、酒場の女を演じる広末涼子は、なぜ男が献身的な女房を裏切ってまで彼女との浮気に走り、ついには心中未遂に至るのか、それを共感させる女の魅力や情念が感じられませんでした。
広末涼子の批判をしましたが、彼女の責任というより、人気を優先させる製作者の問題です。


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映画が好きで昔から良く見ました。心に残る映画はほとんどが昔の映画です。
思いつくままに挙げれば、「ローマの休日」、「サウンドオブミュージック」、「ウエストサイドストーリー」、ヒッチコックの「めまい」、「シェーン」、ローレンス・オリビエの「ハムレット」「ロメオとジュリエット」、「第三の男」、「シベールの日曜日」、黒澤明の「生きる」などなど、切がありません。
最近では、「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」が良く出来た映画でした。


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ローマの休日」でグレゴリー・ペックが、コツコツと靴の音を響かせ去っていく最後のシーンは、叶わぬ恋の思い出と、それをを忘れようとする男の思いが、静かに、見事に表現されていました。
ちなみに、「男のロマン」なる安っぽい言葉に抵抗を感じます。「ロマン」は中世の騎士物語が語源でした。
「そなたか、それとも死か」、これならロマンです。

ローマの休日」は、オードリー・ヘップバーンが人生で一番美しく輝いた時を捉えた、奇跡のような作品でした。
ローマンホリデイ、まさにロマンです。

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昔の映画は、なぜ心に残るのでしょうか。
昔の映画でまず気づくのが、人間を描いていることです。
人間の愛、喜び、悲しみ、勇気、感動は、時代を越えて人の心を打ちます。
最近の3Dや派手なアクションは、見ているときは楽しくても、その場限りで心に残りません。

人が求めているのは感動であり、そのことをテレビや映画の製作者はもう一度思い返し、良い作品を、その作品にふさわしい演技者で製作してほしいと思います。

映画のことを書き出すと切がありませんので結論にします。
結論
ローマの休日」が、やはりNo.1。

(追記)
今日、「マイケル・ジャクソン King of pop」の上映を見てきました。
内容は淡々としたドキュメントで、歌も踊りもありません。
これは失敗かなと思いながら見ていましたが、見終わった後に、感動と言っても良いほどの暖かい気持ちに包まれていたのは意外でした。

優しい声で静かに話す姿は、King of popとは無縁なもので、稀有な優しさに満ちた人間でした。
極貧と父親の暴力に耐えて育った生い立ちが、彼を優しくしたのでしょう。
慈善事業に熱心だったのも、子供たちを救いたいと言う本心からだったと信じます。

マイケル・ジャクソンの実像を知ることのできる映画でした。
機会があればご覧下さい。




国際有機認証「しらい田七人参」
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コメント

Re: No title

yumiさん

サウンドオブミュージックは子供達と何回見たかわかりません。少なくとも十数回見ています。
何年か前、NHKでマリア・トラップさんを特集していました。

アメリカで黒人の養子をもらい、田舎でホテルを経営されていましたが、養子の方もマリアさんを尊敬し、大事に面倒を見られていて安心しました。
トラップさんの子供たちも皆さん元気で幸せそうでした。

この映画が作られた当時、アメリカは犯罪も少なく幸せな時代でした。
サウンドオブミュージック以来、多くのミュージカルが出来ていますが、サウンドオブミュージックを越えるものが出来ないのは、時代背景かも知れません。

見られているかも知れませんが、NHKの「美の壷」は、私の知り合いのお嬢さんがディレクターをされていて、良い番組です。
子供たちに見せたい番組が少なくなったのは、日本の将来にとって残念なことです。








No title

パックさんこんにちは☆
色々お気遣いありがとうございました。
おかげさまでなんとか乗り切れてます(^^)

テレビは、、、、、そうですね。
バラエティーはまず面白くなくて出演者の身内で盛り上がってるだけのような状態にしらけてしまうのでまず見ないです。。。。。
ドラマも人気取りで全然配役に興味をもてないのでまったく見なくなりました。。。
というより地上波をほとんど見なくなったという感じです。
ニュースをつければ見たくもない残虐なものばかり、面白そうかとおもうものはしらけてしまうでは見たくもなくなります。。。

映画は私は詳しくはないですが
一番好きな映画はサウンドオブミュージックですし、好きな女優さんはといわれれば今でも間違いなくジュリーアンドリュースとこたえます(^^)

子供のことでもやはり地上波は見せてません。
NHKが流しているものも、子供だましのような美しさのかけらもない大人が作った子供向け番組の感性を自分の子供に見せたくないからです。あの美とは無縁なキャラクターの数々はどうしてもそれがいいものだとは子供に私自身が言えないからなんです。。。。

Rにサウンドオブミュージックを見せました。
あの美しい歌声と素敵な映像に一緒になって声をだして歌ってました(^^)

ローマの休日も素敵ですよね♪
オードリーぺップバーンの美しさがひときわ引き立つような気がします。。。。

今時の視聴率稼ぎの意図が見え見えのテレビや映画ではなくて
美しさがあふれている昔のもののほうがやっぱり見ていて心がにっこりします(^^)

Re: No title

アラレさん

私もオードリー・ヘップバーンは「ローマの休日」だけで十分です。
人生で一番美しく輝いた時を名作で残せる女優など、めったにいませんね。

どうやら太宰の一番読むべきでない小説を、最初に読んだようです。
最後の最後まで、語り口のうまさには感心していました。
しかし、ラストでなぜ人間を汚すようなことを書かなくてはいけないのか、そのことで太宰は自分には縁のない作家だと決めつけてしまいました。

「津軽」はやはり良い作品のようですね。
アラレさんお勧めの「満願」も読んでみたくなりました。
何十年振りかの太宰をどう感じるか、楽しみです。

No title

“「ローマの休日」は、オードリー・ヘップバーンが人生で一番美しく輝いた時を捉えた、奇跡のような作品でした。”
本当にそうですね。
と、いえるほど、私自身はオードリー・ヘップバーンの作品をたくさん見ているわけではありませんが、
逆に言えば、あれ1本で充分だとも思います。

コメントに太宰の話題が出たので、
若い頃、太宰を読み漁った者として一言。
パックさんが、唯一読んだ「人間失格」、
私は、我慢比べや人間修行のつもりで、
無理やり読みきりました。
二度と読むつもりはありません。

「津軽」は大好きです。私のおすすめは「満願」です。
原稿用紙4枚分の短編ですが、起承転結のお手本のような作品です。
「津軽」も「満願」も中期といわれる頃の作品ですが、
私は、その当時の作品こそ太宰の本性だと思っています。太宰への評価は、生き方や精神性がどうこうではなく、語り口の面白さだけで充分だと思っています。

テレビについては、キチガイが刃物を振り回しているんでしょう。
そのキチガイが、刃物だと自覚しているかどうか!?

Re: No title

parismidoriさん

思い出の映画は他にたくさんありますが、きっとmidoriさんも同じような映画を挙げられるでしょうね。
日本のテレビをたまに見られると、レベルの低さに驚かれると思います。
日本人はそれに慣らされて、芸の無い低級な笑いを面白がっていますが、midoriさんはフランスにいて、健全な判断力を失わずにおられるのだと思います。
本当の日本人は、外国にしかいないという時代が来ないとも限りません。

確かに昔のスターには気品や個性があり、その個性や雰囲気が名画の重要な要素でした。
何もかもが時代と共に軽くなってしまい、あのようなスターはもう出ないでしょうね。

Re: No title

コトママさん

こちらこそご無沙汰していました。
お変わりありませんか。
吉永小百合が、いつ頃歳を感じましたかと聞かれて、涙が横に流れ始めた時と答えていたと、先日の読売新聞に載っていました。(意味が分からなかったのですが、目じりのシワのことですね)

スターは映画の中では、永遠の若さですね。

No title

パックさん、こんにちは。ご推薦の映画の数々に心より賛同いたします、私もパック派です。帰国の度にテレビのチャンネルが同じ種のお笑いに染められていくのには驚いています。それをまったく面白いと思えないのは、日本を留守している間に年を取って時勢についていかれなくなっているからなのかしらとも思いましたが、そういうことではなさそうですね。
昔の映画の俳優・女優には格別な美しさに気品と個性が備わっていたように思います。パックさんのお話を伺うといつも、日本に帰るところが見つかったような、ほっとした気持ちになります。

No title

ご無沙汰していましたm(__)m
永遠のスターはいつまでも輝いているんですね。
心の中で・・・
(=^・^=)

Re: No title

荒野鷹虎さん

最近、太宰ファンが増えているようですね。
なんでニヒリスティックな生き方に共鳴するのか、良く分かりません。
私は太宰の「人間失格」しか読んでいないので、語る資格がないかも知れませんが、
最後にここまで書く必要がないだろうと思う描写があり、拒否反応を起こしてしまいました。
知人に聞くと、「津軽」が一番良かったと言っていましたので、いつか読みたいと思っています。

そういえば、最近ニーチェブームだそうですね。
ニヒリズムの元祖ですので、やはり時代が虚無的になっているのでしょうか。

No title

私は大宰フアンですが、戦後65年も経ても直、人気がある事の、不思議を感じます。!堕落的人間がウと割れずに、献身する女性がいること自体が、日本的興味の表れなんでしょうかね^^^今度は、TV放送で、『斜陽』があるそうですが、過去、何回か、映画化されていますが、いずれも、たいした作品でなかったと思います。今度は、太宰を善と見るか、落伍者と見るかが、興味があります。!私は最近は太宰という人は、ほんとうに善人なのか悪人なのか分からなくなりました。笑)

楽しみにしています。主役が、佐藤江梨子さんらしいですが静子役には似合いそうですね~^^

Re: 古き時代の映画・・・

風光さん

東京物語を書き忘れました。
「世の中って嫌ね」と言われて、「そう、嫌なことばっかり」と明るく応える原節子の表情がさわやかでした。
素敵な女優さんでしたね。
小津安二郎の作品は、日常の生活の中で繰り広げられる人間模様を描き、大げさな仕掛けが無くても、良い作品が出来る見本のような監督でした。

昔はイタリア映画やフランス映画の名作もたくさんありました。
ハリウッドのスペクタクル映画が盛んになってから、名作が生まれなくなったように思います。
テレビで真似のできないものを作ろうとした結果かも知れません。

最近の映画には名作と言えるものはめったにありませんが、たまに佳作があります。
実は今日もこれから映画を見に行くところです。
風光さんも、たまに劇場に足を運ばれてはいかがですか。

古き時代の映画・・・

ローマの休日・・・
今でも好きな映画の一つです。
初めはオードリー・ヘップバーンの美しさや可愛らしさに憧れました。
映画界を離れてからのオードリー・ヘップバーンの人生も最期まで記事等で読んでいました。

また「三匹の侍」黒沢映画ですが、印象に残る作品でした。
「東京物語」小津安二郎作品ですね。
この作品も家族を考えさせられたり、この映画に映し出された広島県尾道市の景観は、今も想いだすことが有ります。
今年卒塾した生徒は、この尾道で大学生活を始めました。

バックさん、話せば次から次へと想い出の作品が出てきますが、残念ながらこの数十年に間に思い出に残る作品はありません。
というより、あったのでしょうが私がいつしか観なくなってしまったのでしょうね。

TVも観たい番組はなく、スポーツニュースなど知りたい情報にチャンネルを合わせるだけです。
ただ、この夏は高校野球が有りますので、試合時間には残念ながら観れませんが、午後11時以降のニュースでドキドキさせて頂きます。

バックさんの言われるように、TVは言葉は悪いですが、「くだらない」とつい言葉にしてしまいます。

今は、古き時代の映画をレンタルビデオ屋で借りて楽しみます。

TVや映画は大きな影響力があるのですがね~・・・
良い影響を与える作品を公開して欲しいですね。
銀幕のスターはもういませんね。

Re: No title

タヌ子さん

好きな映画が共通しているようで、うれしく思います。
かつて、評論家の大宅壮一が、「一億総白痴化」と言いましたが、今の日本がまさしくそうです。
タヌ子さんんは知らないでしょうが、最近はおバカキャラなるものまでもてはやされていて、ものを知らないことが売り物となっています。

総白痴化の尖兵がテレビですが、地上波デジタル放送になれば、さらに怖い状況が待っています。
現在のテレビで十分なものを、強制的にデジタルにするには理由があります。
デジタル信号で、マインドコントロールが可能なのです。
いつか記事にしたいと思っていますが、少し危険かも知れません。

タヌ子さんが心が洗われ、熱い涙を流されるという『君去りし後』は知りませんでした。
これは是非とも見なくてはいけないですね。早速探します。

知り合いに映画関係者がいて、長年関わってきた映画のエピソードを色々聞いていたのですが、記事にするのを忘れていました。
その中の一つ、渡哲也が新人の頃、撮影所の食堂に行って、先輩の俳優たちに挨拶をしたところ、みんな座ったまま、軽く挨拶を返す中で、石原裕次郎だけはきちんと立ち上がり、石原裕次郎です、頑張って下さいと声を掛けてくれたそうです。
一流の人は謙虚ですね。

映画は歳をとっても若い頃の感動が甦りますね。
『君去りし後』楽しみです。






No title

好きな映画も共通していて、一瞬自分が書いた記事を書いたのかと思いました(笑)
全く同感です。
帰国するたびに日本のテレビ番組のレベルの低さには驚かされますが、国民が求めているものがそういうものなのか、楽な道に走るメディアに日本国民が迎合してしまっているのか・・・
スポンサーを見つけるには、視聴率が獲れる番組を作らなければならず、視聴率を上げるには人気のある俳優、タレント(このタレントという言葉が曲者)を採用しなければならないという悪循環に陥っているようですね。
日本のテレビは耳障りな声の若い女性ばかりで、頭が痛くなります。
可愛い文化の日本はいつまで経っても幼稚常態から抜け出せないのですね。
高校生が当たり前のように政治について語り合うフランス社会と比較すると、日本人の平均精神年齢が低さを痛感します。
浦島花子状態の私は浅野忠信氏を知らないのですが、写真を拝見すると、太宰治に雰囲気が似ていて、適役のように見えます。
松たか子も所詮親の七光り女優だと思っていたのですが、やはり役者の血が流れていたんですね。
私は最近の映画は殆ど観ません。
クラシックなハリウッド映画のDVDを探しては、何度も繰り返して観ていますが、最近の映画で何度も繰り返し観たいと思う映画には滅多に出会いません。
先日『君去りし後』のDVDを購入し、観るたびに心が洗われ、熱い涙を流してます(笑)
銀幕のスターはなんと輝いていたことでしょう!
内へ内へと向かっている若者達に、夢を与えてくれる映画を観て欲しいものです。
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