故郷を思う

sakura4.jpg
 春の錦帯橋

日本の唱歌は明治時代末期から、子供たちの情操教育として作られ始めました。子供たちの心を豊かにすることに力を注いだ明治の先人の高い理想と、西洋音楽を取り入れて間もなく、詩情あふれる優れた楽曲を作り出した人たちに敬服します。

唱歌の中でも「ふるさと」は、聴くたびに感銘を受けます。郷愁というだけでなく、人生の原点を思い出させる歌です。
私の故郷は、山口県の岩国市です。錦帯橋のある城下町で自然が豊富でした。(昔の地方は、どこでも自然だけは豊富でした)
子供の頃は、トンボ取りや魚釣りの毎日で、ウサギは追いかけなかったものの、「ふるさと」に歌われている通りの生活でした。

「ふるさと」を聴いて、心に何も響かない日本人はいないでしょう。懐かしさ、切なさが胸に迫り、涙がにじむこともあります。
日本の自然が失われ、日本人の情緒や価値観が変質していく中で、いまだに多くの人がこの曲に感銘を受けるのは、単にふるさとの風景を思い出すだけではなく、優しさや思いやり、素朴さなど、日本人の心の原点がこの曲にあるからではないでしょうか。

「ふるさと」は、子供の頃の記憶を呼び覚まします。人生の辛さや苦労を知らず、親の庇護の下で、ただ楽しく遊べば良かった頃の記憶と連動しているため、余計に懐かしいのかも知れません。
「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」が現実であっても、それでは詩情が無さ過ぎます。

f831565b9472af4b4e19bedcee735d69.jpg

「ふるさと」を一番意識するのは、故郷を失った人でしょう。
思いだされるのは「じゃがたらお春」です。イタリア人との混血であるお春は、1639年、14歳の時に、鎖国令によりジャカルタに追放されました。祖国日本への抑えがたい望郷の思いを書いた、「じゃがたら文」が有名です。

 『・・・いこくにながされ候とも、何しに、あらえびすとは、なれ申すべしや、
     あら日本恋しや、ゆかしや、見たや見たや見たや』

昔、「じゃがたら文」を読んだ時、見たや、見たやという、お春さんの日本への切ない望郷の思いに、深い同情を禁じ得ませんでした。14歳にしては美文すぎて偽作だとの説もありますが、それは昔の日本人の教養の深さを知らない人間の勘ぐりです。二度と帰れぬふるさと、日本への望郷の思いに胸を打たれます。

 思いひやる やまとの道の遥けきも 夢にま近く越えぬ夜ぞなき ーお春

家族を愛さない人、生まれ育ったふるさとを愛さない人はいません。祖国を愛さない人もいないはずです。しかし戦後の日本は、国を愛すこと、愛国心を持つことがいけないことであるかの如く言われてきました。
歴史上、そのような国があったでしょうか。国を愛すことは、自分と家族と大切な人を愛すことです。国を失い、流浪の民となったジプシーやユダヤ、パレスチナの民にとって、祖国とは何より大切なものでした。

豊かな自然と文化の日本、本当に素晴らしい国、愛すべき国が失ったものを教えてくれる曲です。
この曲は大正時代に作られました。作詞の高野辰之は長野県の出身、作曲の岡野貞一は鳥取県の出身です。
二人とも抑えがたい郷愁を抱きながら、この曲を作ったはずです。この二人による曲は他に、春が来た、春の小川、おぼろ月夜、もみじ、日の丸の旗、桃太郎、夕やけ、茶摘み、村の鍛冶屋などがあります。
   
「ふるさと」 you tube(合唱、画像とも感動的です)


  うさぎ追いしかの山
  小鮒釣りしかの川
     夢は今もめぐりて
     忘れがたき故郷

  如何に在ます 父母
  つつがなしや 友がき
     雨に風につけても
     思い出ずる故郷

  志をはたして
  いつの日にか帰らん
     山は青き故郷
     水は清き故郷

  作詞 高野辰之、作曲 岡野貞一  大正5年(1914年)『尋常小学唱歌』掲載



スポンサーサイト

コメント

Re: タイトルなし

matsuyamaさん

唱歌の歌詞は文語が多いので、子供には分かりずらいですが、
「春の小川はさらさら流る」を「さらさら行くよ」などと変えてほしくないですね。
ちゃんと教えれば良いことです。
日本の心は、ずっと歌い継がれていってほしいですね。


Re: タイトルなし

風光さん

「ふるさと」は日本と日本人の原風景ではないでしょうか。
年を取るに従い、その思いが強くなってきます。
しかし、「ふるさと」に特別な感慨を感じない世代も増えてきました。

うさぎ追いし、をウサギがおいしいと理解した子供は多かったようですね。
歌詞の聞き間違いは結構あり、菩提樹の「幹には彫りぬ(えりぬ)」を、
ある歌手が、「幹に生えりぬ」と歌っていました。

[ふるさと」いい歌で、懐かしくもありますね。
子供の頃は、意味もわからず口ずさんでいました。
こうしてあらためて詞を読んでみると、日本人の郷愁を誘う詞ですね。
子供の頃に遊んだ一つひとつの光景が思い浮かんできます。
ロックもPOPもいいんですが、こういう心に響く歌をいつまでも大切にしていきたいもんですね。

幼稚舎時代を思い出します。

童謡は誰でも歌えるような言葉や旋律でできていますね。
それだけに、自分の歌になる事も多いです。

「ふるさと」を何気なく歌っていた幼い頃
ウサギを食べたのかなぁ~
ウサギ美味し・・・だろ?
と言う友達がいました。

先生に聞いてみようと、担任の先生に聞きに行くと
「それはね、うさぎを追っていた頃を懐かしく思っているのよ」と
教えてくれました。

そんな体験もない私たちは・・・
「ふ~ん、うさぎは山に居るんだ・・・」と。

懐かしい思い出が蘇りました。
歌い継がれていかなければならない歌。
お年寄りとの会話を弾ませる和合の歌。
みんなの心の故郷になる歌を、この先もずっと。。。

Re: タイトルなし

yumiさん

私のように地方で育った人間と、都会育ちのyumiさんでは、もしかしたら
「ふるさと」への思いが違うかも分かりませんね。
でも、誰が聴いてもいい歌だと思います。
出産まで、あと一ヶ月足らずですね。
寒くなりましたので、体に気をつけてください。

いい歌ですよね(^^)
心にしみる歌詞なだけでなく
日本語の美しさもこういう懐かしい歌にはあると思います(^^)

Rも保育園で色んな昔ながらの歌を覚えてきますが
言葉のリズムとかとてもいいなと改めて思わされてました☆

非公開コメント

短歌

ブログ内検索

QRコードメーカー



フリーエリア