心に従って生きる

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大覚寺 


自分の心に従って生きることは簡単ではありません。周りとのしがらみや損得に縛られず、心の示す通りに生きるには、信念と強さと心の声に従う素直さが必要です。
そのような生き方をしてきた知人がいます。

知人は学生時代に仏教に興味を持ち、京都の大覚寺に参禅していましたが、熱心さを管長に認められて、食事を頂き、寝泊りを許されるようになっていました。

ある日、大覚寺の庭で思いつめた様子の少女を見かけ、気になっていると管長が近づいて行きました。

管長はその少女に、「何が見えますか」と尋ねました。
少女が庭には咲いている小さな花を見て、「きれいな花が見えます」と答えたところ、管長は、「きれいなのは、花をきれいだと思う、あなたの心ですよ」と言うと、少女はその言葉にパッと顔が明るくなりました。
管長はそれを見て去って行ったそうです。

管長の言葉の意味はこうだと思います。
心で見るもの」で書きましたように、美しい花があるのではなく、花を美しいと感じる心によって、花は美しくなります。「美しい花が見えます」と言った少女の心に、美しさがあったのです。
知人はその光景が深く心に残り、今も忘れられないと言います。


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知人が夏休みに帰省する時、思いついてある瀬戸内海の島に寄って帰ることにしました。
島を歩いていると、植木の手入れをしているおじいさんがいました。
何気なく話しかけるとおじいさんは、「学生さんですか」と聞きます。
日本で最難関の大学の学生であった彼は、鼻高々に「学生です」と答えたところ、「わしは小学校しか出ていない」と言い、「植物は何があったら育つか」と聞いてきました。

「光と水」と答えたところ老人は、「足りないものがある、風がなければ育たない」と言います。
意外な言葉に、「風ですか」と聞き返すと、「ただの風じゃない、どんな風か分かるか」と再び聞きました。
「いえ」と答えるとおじいさんは、「春には春の風、夏には夏の風がいる」と言ったのです。

それを聞いて、鼻高々だった彼は、高慢の鼻を折られてしまいました。
このお年寄りには知恵がある。知恵は学歴ではないと思い知らされたのです。

その後色々な経緯があって悩んだ末、彼は学んでいる大学を辞め、好きな歴史を学ぶことを決断しました。その決断は、人生を選択する重いものでした。彼が中退したのは京都大学医学部でした。医者は自分の人生の目的ではないと考えたのです。

彼はドイツやスイスで暮らした後、現在、自分一人の小さな会社を経営し、彼を慕う若い人たちとキャンプをしたり、一緒に酒を飲んだり、年に数回の旅をしたりして人生を楽しんでいます。
陶器の目利きであり、ギターの名手であり、本を愛し、平凡であっても豊かな人生を送っています。

もし彼がそのまま医学部を卒業していれば、今頃は教授か病院の要職についていたことでしょう。
少なくとも名医として、何人もの命を救える人であったことは確かです。

昨年、彼の親友が急死した時、カルテを確認し、病院側の過失を指摘しました。その指摘は正しく、病院側は300万円の医療費の請求を放棄しています。但し、カルテを見たのは、親友の死因を確認するためであり、過失をとがめるためではありません。

学歴がその人を不幸にすることがあります。
傲慢になったり、学歴に見合った境遇ではないと、不平不満の人生を送る人もいます。
彼は地位や名誉や財産には興味がありません。自分の心に素直に生きています。
学識をひけらかさず、謙虚で暖かく、人生を豊かに生きています。

人間の生き方、豊かな人生とは何かを考えさせてくれる人です。





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コメント

Re: タイトルなし

アラレさん

斉藤一人さんのように、中学しか出ていなくても大成功した人はいますが、
あの方は、たしか家業を継いだのだと思います。
実社会に学歴の壁があることは事実ですし、職業選択の自由が制限されています。

しかし、苦労して一流大学に入り、一流企業に就職した人間が欝になったり、
死を選ぶケースが増えています。
そこまでいかなくても、職場で非人間的な扱いを受けている人が多くいます。
一流企業ほどその傾向が強いと言ってよいでしょう。
日本を代表する会社の社員は、毎晩、家に帰るのが11時から12時です。
他にも、毎晩10時過ぎにメールをしてくる会社があります。
地位や名誉や収入があって不幸せな人間は山ほどいます。
何が幸せか分かりません。

アラレさんの、見栄を張らず、率直な文章を見て、いつもこのようにありたいと思っています。

パックさんいつも素晴らしいお話ありがとうございます。

私自身は、自分で選んだこととはいえ高校を中退したために、若い頃仕事を探すときや資格を取ろうとする時に「高卒以上」という学歴の壁を感じた人間です。その頃は、無理やり後悔はしないと強がっていましたが現実として「高校卒業」という学歴一つでその後の人生がずいぶん違ったかもしれません。
ただ本当の問題は、私にパックさんの知人さんのような強い目的意識や、将来に対する計画や希望がなかったため何をやっても中途半端で終わったことでしょう。。
大学と高校では学歴といっても比べようもありませんが私と同様に、はっきりとした目的意識や将来への夢を持たずに、その時の、学校へ行くことへの不満や苦痛の言い訳に安易に学歴を否定する人もあるいは多くいるかと思います。
私も学歴差別をよくはおもいませんが、現実に学歴が無ければ入れない職場やつかめない夢があるのも事実です。
結局は、本人の目的意識や、意志の強さ、将来への目標、何より人間性ということになるのでしょうか?

遅くなりましたが、ブログへのコメントいつもありがとうございます。

Re: お久しぶりです(^^)

冬日向さん

ご無沙汰しています。
コメントうれしく拝見しました。

おっしゃるように、学生時代に過ごした時間の有難さを、つくづく感じます。
ただ勉強だけしていれば良い時間を与えられるとは、なんと恵まれていたことでしょうか。
学生を見るたびに感じており、できれば中学時代からもう一度やり直したいくらいです。

本当の実力がなければ、学歴は単なるメッキに過ぎませんが、
男にとっては、就職の第一関門になることは避けられません。
しかし、一流企業に勤め、出世し、それなりの給料をもらうことが人生の目的ではなく、
もしかしたら人生の浪費なのかも知れません。

最近、これからの人生で、今が一番若く、体力もあり、人生を有意義に生きるには、
手遅れは無いのだと自分に言い聞かせています。
そうでない日常を送っている証拠ですね。

冬日向さんもネコを飼われたのですね。
かわいいネコちゃんですね。
またお邪魔させていただきます。







お久しぶりです(^^)

寒くなってまいりました。
心温まるお話をありがとうございます。

学歴というものは、便利な道具にはなりますが、本当の知識や教養はまた別のものであることを、年齢を重ねれば重ねるほど感じます。
このことは男性より女性のほうがしみじみと感じているような気もいたします。
学歴には拘泥しませんが、学費を出してもらい、時間がたっぷりあること、そのなんとすばらしい恵みであったことか。
あの時は気づかなかった自分の愚かさを今、悔やむというよりは、ため息混じりに見ております。

信念などと無縁の生き方をしてきて、いまだもって彷徨ってばかり。
このようなお話を聞かせていただきますと、背筋が伸びますね。
ありがとうございました。

Re: タイトルなし

コトママさん

人が成長するとは、余分なものをどれだけ削ぎ落せるかだと思います。
学校で何を学んだかが重要なのに、学歴は学んだことではなく、出たことを証明するだけです。
いつも感じることですが、中学や高校しか出ていなくて、精一杯生きて来た人は自然体です。
身の丈にあった生き方をしています。

猫ちゃんのこと、良くわかります。
家内も人間が食べる食材は少しでも安いものを買うのに、ウサギや猫のエサは
無理してでも、良く食べるものを買っています。
家族の一員なので仕方ないですね。
コメント有難うございました。

素敵です。
学歴よりも経験が大切なんですね。
心が豊かな事は何よりも一番の自分の財産ですからね。
私も生活費を削って猫ボラをしていますが、知り合いからは猫にお金をかけなくても・・・信じられない
って悲しい言葉が多く返ってきます。
この記事を読んで正々堂々と活動出来るようになりました。
いつも有難うございます。

Re: 心の声を・・・。

風光さん

人間は生まれる前に、どのような人生を歩めば魂の向上ができるかを決めて、
生まれてくるのだと思います。
しかし、予定通りに行かないことも多く、その時心には、何か違うという思いが
湧いてくるのではないでしょうか。

予定と違う人生の選択をし、それに慣れ、安定した時に人生の路線を変えることは、
大変な悩みや苦労が伴い、家族にも迷惑を掛けます。
しかし、もしかしたらその大きな人生の転換も、心の学びとして計画していたことかも知れません。

今、風光さんが瞑目して心の声を聴かれ、それに従っておられるのは素晴らしいことだと思います。
心の声を聴くには、それ以外に方法がないでしょうから。
自分が生まれてきた目的と使命を果たせれば、喜びをもってあの世に帰れるでしょうし、
そのことを教えてくれるのは、自分の心だけだと思います。

コメント有難うございました。



心の声を・・・。

何のために生きているのかと考え悩んだ時期があります。
先を約束されたサラリーマン人生を強引に辞表を出した頃は
会社からも親戚からも反対されました。
地位もお金も約束されているのに何故なのかと・・・
私にはその言葉に対して明確な理由で返す言葉もありませんでした。
でも、何かが違うと思い会社を辞め、それを探す日々が始まりました。
経済的にも苦しみ、妻とは離婚する事になり一人になってしまった時
ある御住職の言葉から少しずつ先が見えるようになってきました。

瞑目合掌する中で、自分の本当の心の声を聴くようになって
その思いのまま過ごして来て今に至っていますが
更に心の声を素直に聴き歩んで行きたいと思っています。

私の勝手な気持ちですが、バックさんとお会いできましたのも
心のままに開いたバックさんのブログでした。

感謝。

Re: タイトルなし

midoriさん こんばんは。

久しぶりの日本はいかがですか。
今回はゆっくり滞在されるようですね。

彼は学校の少し後輩ですが、私よりはるかに深く探求しており、
教えられることばかりです。

前回、midoriさんの写真が内容にふさわしいのを思い出し、お借りしました。
有難うございました。

Re: タイトルなし

貝殻さん こんばんは。

本当に分かっていることなど無いですね。
ほとんどの知識は、与えられて覚えているだけで、
自分で確認できるものは僅かです。

自然科学の法則のように、生きてゆくための心の法則があり、
そのことを知恵と呼ぶのでしょうね。

自分が何も知らないことを、知らなければならないですね。

コメント有難うございました。

パックさん、こんにちは。きょうもよいお話をありがとうございます。どこかに、話を心で聴いてくれる人を"親友”とよぶ、とありました。きっと、パックさんとこのご友人のようなことでしょうか。前回の記事の写真は、私のささやかな日本の心の努力・・・、ご掲載ありがとうございました!

大切なもの。今日は知恵と言うのに感じるものがありました。勉強してわかった気になってる事が多いなーと思いました。

でも本当に役にたつのは知恵なんでしょうね。それは体験して初めて判るものなのでしょうね。

そう思えば知ってるけど本当は知らないって事だらけですね。
何時も気付き頂いています。

ありがとうございます

Re: タイトルなし

宇宙・音楽さん こんばんは。

キリストも釈迦もソクラテスも、みんな学校に行っていないですね。

多くの人が大学まで出て知識は学んでも、知恵に至った人はほとんどいません。
人生の学びは、実生活で苦労しなければ、学べないのでしょうね。

あの世に持って帰れるのは、魂の学びだけなので、余分なものを削ぎ落とし、
自分を裸にしなければならないのですが、これがむずかしいですね。

余分なもので身動きできなくなっている自分がいやになります。

コメント有難うございました。

パックさん、こんばんは。
素敵な友人ですね。
飄々と力強く自分の道を歩く人って、中々いないですよね。
本当に強い人は、穏やかで優しいと思います。

>「学歴は知恵じゃない」
俺も大学を中退して、「学歴は知恵じゃない」を痛感しました。
体中が痛いくらい、今も痛感し続けてますが、、、。(苦笑)
裸にされた時、自分じゃそんなつもりがなくても、気付かない内に、学歴の上にあぐらをかいてた自分を発見して、恥ずかしくてしょうがなかったです。 
今回も光のあるいい話ありがとうございました。

Re: タイトルなし

rpathさん お変わりありませんか。

若い時は失うことを恐れず、何でもチャレンジできますが、
結婚して子供がいれば、自重する方が賢明かも知れません。
人間が年を取って保守的になるのは、きっと自然なブレーキなのでしょう。
人生の下り坂に入れば、アクセルは踏んではいけないのでしょうね。

コメント有難うございました。

こころに従って生きる。
一見、自分勝手に生きることのように
思われる場合もあるかもしれませんが、
まったく別のものですね。

素敵な生き方をされている友人がいて幸せですね。

Re: タイトルなし

yumiさん、こんばんは。

彼のような生き方をした人間を、他に知りません。
本当の叡智のある人間です。
先日、久しぶりに会い、学生時代に読んだ本の話に熱中しました。
知人と書きましたが、肝胆照らす貴重な友です。

そうなんですよね。。。。心に従って生きる。。。。
大事なのだとわかっていてもやはりそれではやっていけないといわれて育ってきたからかなかなか心のままに生きる道を探すことを恐れてしまいます(^^;)この方のように自分の信念をもってこれだと思う道をしっかりと歩めるようになりたいものです

Re: はじめまして♪

珊瑚さん、はじめまして。

自分の信じる道を歩くのは、勇気がいることですね。
この知人は、人生に一切の後悔がありません。
心の命ずるままに生きてきました。
尊敬すべき人です。

コメントありがとうございました。

はじめまして♪

こんばんは♪
なんだかとても勇気を頂きました。
有難うございます(*^-^*)

素敵な贈り物を頂いたような、そんな気持ちです。
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