ならぬことはならぬ

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会津藩「什の掟」

岐阜に株式会社タニサケという会社があります。すばらしい社風の会社で社員教育も立派です。社内の提案制度での改善は日本一と言ってよいかも知れません。その結果として高収益をあげており、全国から見学者が絶えません。

この会社が定期的に心の教えについて講演会を主催され、その講演録が小冊子になって販売されています。その中からエピソードをご紹介します。

坂西輝雄先生(元群馬県教育長)講演「今、こころの時代に」ー豊かな心への道ーより

・・・新潟県の高田市(今の上越市)でPTA会長をされていた戸羽さんという方の子育ての話です。

「私の長男は敏雄といって、今、高校三年生ですが、小学校三年生か四年生のとき、1月末の粉雪のちらつく寒い夕方でしたが、私が外出先から帰ってくると、妻から、敏雄が仏壇の前にあった金の一部を持ち出して使ってしまったと聞かされたのです。

私はすぐ敏雄を呼んで、「いいか、おまえがしたことがどんなに悪いことか、お父さんが教えてやる。これからおまえに水を5杯かける。しかし、おまえがそういう悪いことをしたのは、おまえが悪いだけではない。そういう悪いことをさせたお父さんにも責任がある。だから、お父さんも水を5杯かぶる」と言いました。

妻が泣いて止めるのも聞かず、パンツ1枚になった敏雄と私は粉雪の舞う庭に出ました。まず私が、身を切るような池の水をバケツで5杯かぶる。その姿を、目に涙を流しながら、そのとばっちりを避けようともせず、ぶるぶる震えて立っている息子を見たとき、この時ほど、この息子は、おれの血を分けた大事な息子なんだと実感をもって胸に迫ったことはありませんでした。

平生、トランプをしたり、キャッチボールをしたりして遊んでいるときも、自分の息子だと感じていたことにかわりはありませんが、私のバケツの水しぶきが自分の体に跳ね返ってくるのに、避けようともせず、たらたら涙を流してじっと見つめている息子の顔を見たとき、この子は自分の血を分けた大事な息子なんだ、と実感として受け止めたことはありませんでした。

それから心を鬼にして、息子に三杯、水をかけたら、息子はすくんでしまいました。あとの二杯は半分ぐらいにして、数だけ約束どおり5杯かぶせると、私は、息子を横抱きにして風呂場に駆け込みました。そして、乾いたタオルでごしごしと息子の体を拭いてやったのですが、そしたら、息子が、わきのタオルで私の腹をなでているのです。私は思わず息子を抱いて、男泣きに泣いてしまいました。
それからというもの、敏雄はまちがっても、自分の金でないものには、投げておいても手を触れない子になりました」

三百年ほど前、会津藩に「什(ジュウ)の掟」という、子どもの掟がありました。
藩全体で子どもにこういう「しつけ」をしたと言います。

一、年長者の言うことにそむくな。
二、年長者には、おじぎをしなさい。
三、うそを言うな。
四、卑怯なことをするな。
五、弱いものをいじめるな。
六、外でものを食べるな。(今の時代、通用しませんが美意識だと思います)
七、外で女の人と話をしてはいけない。(今の時代、通用しません)
八、ならぬことは、ならぬものです。

ーならぬことはならぬと、自信をもって言い切った会津藩の大人の権威が、そのまま生かされているかのような感動を覚えます・・・。



親が身をもって教えること、子供にも身をもって覚えさせることは、教育の重要な方法であるはずです。
スポーツの世界では当たり前のこととして受け止められるのに、教育の世界では体で覚えさせることを否定する甘やかせの風潮が、今の日本を作っているのではないでしょうか。


参考:会津藩校日新館」 「什の掟





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コメント

とてもいいお話だと思います。年長者を
大事にする教育が戦後はなおざりにされて
いるように思います。
外で物を食べるなも私は両親から
そう教えられました。
偏見と言われるかもしれませんが
女性が外で口をもぐもぐさせてるのは
あまりいい感じはしません。
あ!ソフトクリームは別なんですよ。
今日はいいお話ありがとうございました。

親として

とても感動いたしました。
ありがとうございます。

会津藩の「什(10)の掟」、いいことばかりだと思いますが、誰にでも通用するのは、【八、ならぬことは、ならぬならぬ。】だと思います。。。
これを忠実に守っていれば、幕末の会津の悲劇はなかったのでは・・・
時代はいつも残酷ですね!
いい話をありがとう
(*^_^*)

お世話になっております。
白虎隊記念館・飯盛山周辺は会津訪問の際必ず訪れる場所です。
恥ずかしながら、いつも同じ白虎隊記念館での映画をみながら、涙を流してしまうものでした(2000年~2003年頃)。
日新館の「什の掟」はたいへんシンプルで、
素晴らしい文言である、と、初めて見た時から感じております。
今朝方、たまたまですが、大きな壁をのりこえたその先に、赤い柵が特徴的な「鶴ヶ城」を遠望する夢をみました。
そして、今、記事を拝見させて戴き、
なにか、「邂逅」や「嬉しさ」、その様な気持ちをお伝え致したくコメントさせていただきました。
有難う御座いました。
ys_tate
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